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「Ruina ~廃都の物語~」 ゲームレビュー

 まえおき 

さて、今回のフリーゲームレビューは「Ruina 廃都の物語」です。
まずは個人的な話を少々。
私的にこのゲームを取り上げないわけにはいきません。

なぜかって、このゲーム、様々な作品のオマージュやパロディに満ち溢れているのです。
そしてそれらの元ネタに、ビクンビクン反応してしまう私がいるのです。
しかもネタの料理の仕方が、格段に美味い!
いやー、本当よくわかっていらっしゃる(笑)。

でも、オマージュやパロディ作品は好きですけれど、それだけのゲームでしたらわざわざ取り上げません。
本筋がきっちり仕上がっているからこそ、丁度良いアソビのスパイスになっているのです。

では、ストーリーの詳細については触れていませんので、興味がある方は続きを読むから、
ご覧ください。

Ruinaタイトル
   ↑タイトル画面 クリックで製作者様HPの作品ページへ遷移します


 一芸のレベルの高さ


まず、このゲームのどこに驚いたか書きます。
それは、語る、見せる、魅せる、感じさせる等、表現の一芸のレベルが極めて高い事です。
全ての中で、どれか一芸だけ秀でてるのではなく、個々の芸のレベルが全て高いのです。

いやこれは、本当に凄い。

いやね、一応私も絵も文章も小説も書きますけれど。
それだってただ書けるってだけで、それだけなんです。
それにどちらかに力を入れれば、その逆がおろそかになりますしね。
ところが、Ruinaは絵と文章のレベルが、個別に凄い。

グラフィックは、幼い頃に夢中になって胸ときめかせた、好きだった冒険小説を思い出すかもしれません。
文章は、あるはずの無い情景を鮮烈に心に浮かび上がらせ、必ずや幻想の世界へとあなたを誘うでしょう。
絵と文章の相乗効果は高まって、冒険の中の緊迫感と相まみえ、それは興奮必至の大冒険になるでしょう。
(宮殿部でのあの緊迫感、クライマックスでの緊張感には、特に痺れました・・・)

ruina_2.jpg
   ↑緊迫感溢れすぎだとウワサの、宮殿部シナリオ


Ruinaの凄いところは、それに留まりません。
前回の「シルフェイド幻想譚」にしろ「Ruina」にしろ、本当に凄いゲームにはどれも
もう一歩伸びしろが用意されています。

Ruinaで更に舌を巻いたのは、巧みなストーリーティリングです。
ストーリーの進行度に対する、世界観の魅せ方のハンドリングが素晴らしいのです。
巧みさというより、匠さといった方がいいかもしれません。
ゲーム処理うんぬんを通り越して、これはもう完全に芸の域に達しています。

ゲーム序盤はストーリーも見えないので、行動の幅も程ほどに。
中盤に進むにつれ、広がる世界観と、それに応じて取れる行動範囲。
終盤に至るにつれ、発覚するNPCの思惑と、解き明かされる真相。
そして物語はクライマックスへ・・・・・・。

縦に進むストーリーの進行度と横に広がる世界観の見せ方の、三角形の描き方のなんて綺麗なこと!
それはまるで完成されたピラミッドを見ているかのように、縦軸と横軸のバランスが取れているのです。
そして何層も重ねた玉ねぎの皮が一枚一枚めくれるように、ストーリーは物語の核心へと近づいて行くのです。
(まさに、めくるめく冒険譚)

また、このゲームの大部分を占めるダンジョンの様相にも、工夫が凝らしてあります。
各ダンジョンの配置や設置意味なんかも良く考えられていて、飽きる事がありません。

きっと、テーブルトークRPGのゲームマスターも熟練の腕前なのでしょうね。
それは、振り返ればもう何年もプレイしていないTRPGを、まるで昨日の事の様に思い出して、
ひたすら枯草様のGMの手腕におぼれたような感覚でした。

ruina_3.jpg
   ↑シナリオによってはゲームブックやTRPGのように、効果的な選択肢を選ばないと、
    敵のエンカウントが有ったり経験点がもらえなかったりします




 世界観を支えるゲーム性


前述した部分と言うのは、実は他のメディアでも感じることが出来る感想なのです。
ゲームじゃなくても、小説でも、映画でも。
もっと言えば観覧者が一定の操作を施して、それに伴ってストーリーが進むインタラクティブなメディアであれば、ゲームじゃなくてもいいんじゃないか。

いえいえ、Ruinaはやっぱり面白いゲームなんです。
ゲームであれば、やっぱりゲーム性というものを、ないがしろにはできません。

前回「シルフェイド幻想譚」でゲーム性について少し述べました。
目的までに複数の経路があって、経路ごとに駆け引きがあって、その駆け引きを具体化できるルールが存在する。

Ruinaの基本的な部分は、洞窟探査ゲーム、いわゆるハック&スラッシュです。
(HPやMPを含めた)活動力が尽きるだけ洞窟内を探査して、やばくなったら拠点に戻って体力を回復、また洞窟へ潜って探査を続行する。
この繰り返しです。

RuinaはここにTTEXPという、よく出来たルールがあります。

TTEXPとは1回の洞窟探査での合計獲得経験値に相当し、拠点に戻った時のTTEXPに応じてボーナスがもらえるというルールです。
TTEXPによって得られたボーナスを消費して、レベルアップとは別に主人公は能力値増加や特技、魔法を増やす事が出来ます。
つまり、一回の洞窟探査でより多くの経験値を稼げば稼ぐだけ多くボーナスが貰え、より容易に主人公を成長させる事が出来るというルールです。

ruina_8.jpg
   ↑左上のメーターが「TTEXP」です

特定の場所を除き、洞窟内にHPやMPを回復させるポイントはありません(アイテムは有効)。
また、基本的に洞窟内はセーブは出来ません。
有限数値である活動力というジレンマを抱えながら、出来るだけ多くのTTEXPを獲得するやり方を考えなければいけないのです。

効果的に動くとすれば、活動力0ぎりぎりまでねばってTTEXPを稼ぐ方法が有効的です。
しかし、それに囚われすぎると、当然ながらあっさり全滅します。
また、どうせTTEXPを稼げないのが解っているなら、残ってるイベントは手を付けずに早めに拠点に戻って次回のTTEXPに回す、という方法もあります。
ここに、活動力に対するTTEXPの稼ぎ方について、駆け引きが存在します。

同行する仲間によって、危険感知や罠解除、生存術や料理といった使える技能が異なります。
洞窟内もバラエティに富んだ内容になっているので、あるところではこの仲間を、またあるところでは違う仲間を従えて、謎やストーリィに挑まねばなりません。
使えない仲間を同行していると、効果的にTTEXPが稼げずに主人公の成長が遅くなってしまう、なんてこともあります。
(その前に敵にやられてしまう可能性が大ですが)

なお、ストーリィの進行度にもボーナスが用意されています。
あるポイントを決められた日数内で到達すると、TTEXPとは別にボーナスがもらえる設計になっています。

ruina_9.jpg
↑「TTEXP」が100%以上のときに拠点に戻ると、TTEXPに応じてボーナスが貰えます



 周回プレイの存在


このゲームも周回プレイが用意されています。
ゲーム開始時に4つのタイプから主人公を選んでゲームが始まるのですが、選んだタイプによって微妙にストーリーが変わってきます。

大まかな流れは不変ですが、そのキャラクターを取り巻く背景が異なるのです。
そして主人公の背景に連動して、他NPCの思惑も変化します。
この主人公では役に立っていたこのキャラが、あの主人公ではあんな展開になったりします。
それがストーリィにどう関わってくるのかは、実際にプレイして確認してみてください。

また、主人公のタイプ別のシナリオが用意されていますので、最低4回楽しく遊べます。
さらに、1回クリアごとにオマケが閲覧できるので、最低4週は必至です。
(私は、オマケ3が特に好きで、オマケ4に圧倒されました☆)

ruina_7.jpg


 唯一の弱点


とまぁ、ストーリーやゲーム性に富んだこのゲームなのですが、唯一の弱点があります。
それは、リドル(謎解き)が少し難しいという事です。
前述した文章の巧みさもあって、困惑させる言い廻しなんかも効いているので、私ごときのヌルゲーマーはノーヒントクリアはちょっと難しい難易度でした。

それでもお気に入りの世界の中で、解けないリドルにうんうん頭を悩まされるというのは、
実はなんとも贅沢な、至上の瞬間でもあるのです。



 その他のポイント


前述した部分以外にも、こんなにも興味深いシステム・設定が盛り込まれています。

 ・キャラクター一人一人にしっかりと用意された背景
 ・個性的かつ、役割分担がしっかり定まったNPC設定
 ・豊富に用意された、NPCとの会話バリエーションと好感度の設定
 ・悪ノリ一歩手前の夜種王を筆頭にした、様々なオマージュ・パロディ・ギャグ
  (本筋がかっちり決まってるから、何をやっても許される)
 ・周到に用意された、世界的情報
 ・一つのイベントに複数の方法が用意されている、ゲームブック的システム
  (それが全く退屈さ・面倒くささを感じさせない)
 ・こんなところまで探索できるのかと驚かせてくれる、(深いだけではない)広大な冒険舞台

メインとなるシステムをかっちり設計できる人は、必ず細部にも気を配ります。
それは「シルフェイド幻想譚」にも言える事ですが、料理で言うところの隠し味、スパイス、フレーバーといった部分とメインの味が網目のように絡み合いながら、一言では言い表せない絶妙な味を引き出していると思います。

眠れぬ夏の夜に、異世界のアドヴェンチャーに興じるのも趣があって良いかと思います。
まだプレイされていない方はもちろん、既にプレイ済みの方ももう一度遊びなおしてみてはいかがでしょうか?

ruina_10.jpg

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