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「シルフェイド幻想譚」ゲームレビュー

 まえおき 

実は、自作ゲームの製作状況についてあまりにも語ることがありません。
これからの生涯、フリーゲームのレビューなんぞをやって、お茶を濁して生こうと思っています。

さて、第一回目は「シルフェイド幻想譚」です(以下、シル幻と省略)。
ウディタリアンならもちろんご存知の、そうでなくても傑作フリーゲームRPGとして名高い、
Smorking WOLF様製作のフリーシナリオ型RPGです。

タイトル
   ↑タイトル画面 クリックで製作者様HPの作品ページへ遷移します

初出から5年も経っているので今更何をとも思いましたが、
実際にゲームを製作するようになって、シル幻に影響を受けていない部分は無いのです。
また、手本となるゲームの解体・分析は大きな参考になると思い、書いてみました。                                                       
ここ読んでる人で、まだやってない方って言うのは、どれだけいるんでしょうか?
でもご安心ください。そんな方々に送る、お決まりの台詞があります。

「まだプレイしていない人は幸せな人である。
 なぜならその楽しみを、これから味わえるのだから」


(主にゲーム性やシステム面でのレビューをさせていただきました。
 ストーリー面についてはほとんど触れていませんので、プレイされていない方でも、
 安心して読めるかと思います。
 念のため、ご了承いただける方のみ「続きを読む」から読んでください)
 高いゲーム性を保持した、システム設計 


最初に、シル幻のどこが好きか書きますね。
まず、高いゲーム性を保持するようなシステム設計をされているという事です。
そして、そのゲーム性とストーリーや演出等の兼ね合いが、(私にとって)
とても丁度いいという事です。

一口に面白いゲームといっても、色々ありますよね。


 ・ストーリー展開が面白い
 ・演出のきめ細やかさが面白い
 ・ゲーム性の高さが面白い


これら要素はどれか一つだけとって「ゲームとはこうである」とは語れません。
様々な要素が複雑に絡まりあいながら、面白いゲームは生まれると思うのです。

では、どの要素が秀でたゲームが好きか。
ゲームをプレイすると自覚がある以上、ストーリーや演出が秀でてるゲームよりも、
ゲーム性が高い方が嬉しいと、私は感じるのです。

ところで「ゲーム性」って何でしょう??
私も完全に定義できないのですが、面白かったなぁと思うゲームには、大体下記の要素を含んでいます。


 ・目的にたどり着く経路が複数存在する          (選択権の存在)
 ・経路の過程でいくつかのジレンマが発生し、局面に応じた駆け引きを必要とさせる
                                    (駆け引きの存在)
 ・その駆け引きを具体化できる方法が存在する      (ルールの設計・デザイン)


つまり、最終的な目的があって、そこにいたる経路がいくつかあって、経路ごとに異なる駆け引きがあって、その駆け引きがちゃんとルール化されている。

アクションゲームなんかだと、これに操作性なんかも関わってきたり、ボードゲームなどのマルチゲームではラック(運)とスキル(技)のバランスの兼ね合いもありますが、大体こんな感じで纏まるかと思います。
要素が無いゲームも多く有りますけれど、有った方がよりゲーム性が高いと言う事になります。
シル幻ではこんな感じで分類されると思います。


目的:世界を滅ぼす「災い」を見つけ、それを防ぐ

経路:「災い」を防ぐため、三種類の能力の異なるトーテム(精霊)の力を借りて展開を進める
   戦闘力が高いトーテム、回避・移動に長けるトーテム、魔法力に秀でたトーテムが存在
   選択したトーテムによって時間の経過に修正があるので、その後のストーリー展開に
   影響を与える
   各トーテムの長所・短所を考えて謎解きや戦闘を繰り返し、時間制限のあるシナリオを
   クリアする

ジレンマ:メインストーリーと幾つかのサブストーリーには、時間の概念が設けられている。
     つまり1のストーリーでもたついていると、2のストーリークリアに必要な時間を過ぎて
     しまい、悪い方向へ進んでしまう

駆け引き:上記の通り、並行するストーリーに対して時間というジレンマが存在するので、
     次のシナリオに必要な時間を考えながら、現在の作業を進めなくてはならない 
     各サブストーリーは並列に進んでいるので、状況によっては1のストーリーを諦め、
     2のストーリーを優先する事も可能

     また、時間の経過は選んだトーテムによって左右される

     戦闘力が高いトーテム    → 時間経過に修正無し
     回避・移動に長けるトーテム → フィールド上は2/3の時間経過
     魔法力に秀でたトーテム   → 時間経過の修正は無いが海を渡れるので、
                          随分な時間短縮が可能


さて、シル幻の素晴らしいところは、ゲーム性が高いだけではありません。
本当に驚くべきは、ゲーム性に難易度と演出とプレイ時間を加味した、総合的な調整です。
これ、神業も神業です。
どうやったらこんな調整できるんでしょうか。
短すぎず、長すぎず、足らなさすぎず、盛りすぎない。

それは、不必要なものを最大限削った上で、必要なものを最適なだけ盛る、職人業です。
言葉で語るのは簡単ですが、何かを設計しようとする時、これは本当に難しい。
製作に熱が入りすぎたり、ひとつでも不安な要素があれば、不必要に盛ってしまう。
かといって覚めた目で見すぎると、遊びとして楽しめる部分まで削ってしまう。
プレイヤーが何を求めているのか、ユーザー視点からの観測が常に出来ないと、
まず成しえません。

1回のプレイにおけるゲーム性・難易度・演出の濃さ・ゲームの尺の長さ。
後述する周回プレイも加味した上で、すべてに嫌味が無く丁度いいのです。
考えて出来る業じゃないし、かといって全く考えなければ余計にひどくなる。
やり始めの頃、この調整には非常に強いセンスを感じた覚えがあります。

それはまた、非常に良く出来たパズルゲームとしても昇華されている証ですので、クリアに必要な手順を知ったとしても、何度も何度も繰り返しプレイしてしまう中毒性があります。
また「縛りプレイ」や「最短時間プレイ」なんかにも、チャレンジできる幅の広さを持っています。

ここがシル幻の醍醐味、一つ目にして最大のポイントです

トーテム選択
↑ トーテム選択画面 
  能力の異なるトーテムを1体お供につけて、冒険がスタートします




 周回プレイによって真相を知り、必要で
 あればストーリーを変える事が出来る


さらにこのゲーム、周回プレイ可能です。
と言うか、周回プレイ前提のゲームです。
初見で全ての謎や出来事をクリアする事は、ほぼ出来ないでしょう。


周回プレイ:ゲームクリア時に一定の経験点を持ち越して、最初からスタートできる。
      そのため、相対的に前回プレイよりも早い段階で、他のストーリーに
      関与する事が出来る。


1回のプレイ時間はさほど多くありません。
クリアして、他の部分が気になれば、すぐに次の冒険に旅立てるくらい。
1杯のご飯を少し少なめにして、その代わり何杯もおかわりが出来るような設計です。

あ、初回プレイ時は対応レベルもわからないし、試行錯誤が入るので少し時間かかっちゃいますね。それでも周回を重ねる事によって、必要不必要が解ってきますので、どんどんプレイ時間を短縮する事が可能です。
(経験点も持ち越せますし)

メインストーリーも15日という制限はあるものの、余程変な風にプレイしなければ、
大抵制限内にクリアできると思います。

前述した時間経過によるジレンマは、周回プレイする事によって、解消する事が出来ます。
あの後あの場所で、あの時間に主人公が○○すれば、ストーリーの流れが変わる。
よく出来たミステリ小説の伏線を確認しながらの再読がたまらない様に、
シル幻においても、周回プレイはたまらない瞬間だと言えると思います。
(ストーリーが変化すると言う点で、それ以上?)

ここがシル幻の醍醐味、二つ目です

周回プレイ
↑ ゲームクリア後の周回プレイ選択画面です

ストーリー分岐
↑ 画面では解り辛いでしょうが、ストーリーの分岐ポイントです


 クリア後のプレイ評価


ゲームクリアして、感動的なエンディングを向かえ、気持ち良い余韻で胸いっぱい。
これで終わりかと思ったら、クリアプレイの評価が待ってました。

初回プレイ時なんて、色々ヘマやっちゃうわけですよ。
色んなキャラと接する事が出来たのに、残念ながら上手い事いかなかったキャラもいたりなんかして。
それでも頑張って、頭働かせて、現状で最上の状態で、やっとの事でクリアして。
ネタバレなので書きませんけど、感動的なエンディングを迎えた後に。
そのプレイを、創造神とトーテム三匹が、総出で評価してくれるわけです。
それもただ数字が表示されてるだけではなく、一緒に頑張ったトーテムが
ギャグを交えながら振り返ってくれるのです。

この演出は、本当に嬉しかった。
涙が出るほど、嬉しかった。
頑張って時間を割いてプレイした事を、ちゃんと評価していただけたような気分でした。
同行したトーテムのコメントなんかも聞けたりして、何度も何度もニマニマしてしまいました。
自分の行動内容が画面に数字で反映されるのは、とても達成感や満足感が得られます。

「次回は、ストーリーや謎はおいといて、この評価をもっと上げてみよう」とか、
「あのトーテムが言ってた××を探してみよう」とか、次プレイへのモチベーションも高まります。

なおこの評価システムは、氏の他フリーゲーム「モノリスフィア」「シルフドラグーン0」にも
いかんなく受け継がれています。

ここがシル幻の醍醐味、三つ目です

プレイ評価
↑ ゲームクリア後のプレイ評価です
   トーテム総出で、あれやこれや冒険を振り返ってくれます



 総括


以上、私が感じるシル幻の醍醐味を三つほど挙げてみました。
挙げてみてみてびっくり。
この三つは、実は互いに連動してるんですね。


 ・ゲーム性溢れる本編をクリアする → 
 ・ゲーム評価で現プレイの評価と、次プレイへの目的意識を作る →
 ・必要があればトーテムを変更しながら、周回プレイで前回果たせなかったシナリオと謎に
  関与する

        ↓

    ・ゲーム性溢れる本編をクリアする →
    (以下繰り返し)


個々の要素は個々の要素で機能しながら、それらが一つとなって、大きな要素として機能しているわけです。
改めて本当によく考えられてるなと、唸らずにはいられません。

そうそう周回プレイと言えば、ゲームオーバー性の薄いシステム設定も忘れてはいけません。
周回プレイが前提のため、1回クリアしてからが本当のスタートといえます。
そのために最初の1回はどうしてもクリアしてもらうための処置といえましょう。

緊迫感が薄れる?
いえいえ、全滅回数はプレイ評価に関わってきます。
目の前に数字をぶら下げられて、そう易々と全滅するわけには行きません。
それに主要ストーリー上で全滅するとストーリーが悪化したり、同行キャラによっては
死亡して二度とゲームに現れなくなったり、この部分についても、しっかり配慮が行き届いています。

今でこそ周回プレイを設け、前週よりも楽な状態で繰り返し出来るゲームは多く見受けられます。だけど、シル幻が単純な周回プレイを設けてるゲームよりも踏み出している点は、並列に存在するフリーシナリオを導入している点につきます。
フリーシナリオの存在によって周回プレイする意義がより高まり、それは繰り返しプレイヤーをシルフェイド世界へ参加させる、大きなシステムになっていると思います。

プレイヤーを、その世界に参加させる事が出来る。
参加させて、既成のシナリオをなぞらせるのではなく、自分でコントロールさせる。
そう「シルフェイド幻想譚」こそ、私は本当の参加型RPGであると思うのです。


 追伸


そのほかにも、主に演出やストーリー上で好きなポイントは枚挙にいとまがありません。

 ・エンディングが映える、匿名性の高い主人公設定
 ・憎めないトーテムやキャラクター達の性格設定
 ・沢山のパターン数を用意している、トーテムとの相談コマンド
 ・過剰にならず、シンプルながらも的を突いた演出効果
 ・幻想性の高い音楽の選曲
 ・戦闘システムでの戦略性
 ・箱庭的世界観の見せ方
 ・エンディング一歩手前の演出


が、ネタバレもあるし、何よりスペース上の都合で割愛させていただきます。
(すみません)


 次回予告


次回の予定は未定ですが、やるとしたら「Ruina ~廃都の物語~」を書こうと思っています。
記事になるほどの分量が出来たら「箱庭的世界観の見せ方」でもう一回シル幻をレビューするかもしれません。
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